サブリース契約を検討されている方で、以下のような悩みはありませんか?
「サブリース契約は『やめとけ』『やばい』と言われて不安」
「サブリースのリスクやデメリットが気になる」
「トラブルを防ぐ方法やサブリースに向いているケースを知りたい」
サブリース契約は手軽に不動産投資ができる仕組みですが、「やめとけ」「やばい」と言われるのはどのような理由からなのでしょうか。
この記事では、サブリース契約はやめとけと言われる理由やトラブルを防ぐための2つのポイントなどを詳しく解説します。
サブリースを検討中の方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
サブリース契約は「やめとけ、やばい」と言われる2つの理由
サブリース契約は「やめとけ」「やばい」との声もあります。
理由には以下の2点が挙げられます。
- オーナー側からの契約解除が難しい
- 賃料減額のリスクがある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
オーナー側からの契約解除が難しい
サブリース契約のリスクの一つが、オーナー側からの契約解除の難しさです。一度サブリース契約を結んでしまうと、簡単には解約できません。
契約解除が難しい理由は、借地借家法でサブリース会社の賃借人の権利が強く保護されているためです。
サブリース契約では、オーナーは賃貸人、サブリース会社は賃借人と定義されます。
そのため、オーナーの都合だけで一方的に契約を打ち切るのはほぼ不可能です。契約解除のためには、立退き料の支払いや建物の取り壊しなど、正当な理由が求められます。
「期待した収益が上がらない」との理由だけでは、解約は認められません。
しかも多くのサブリース契約には、違約金条項が盛り込まれています。仮に解約できても、高額な違約金の支払いが必要になるケースも少なくありません。
このため、想定外の事態が起きても、長期間のサブリース契約から逃れられないリスクを考慮して、契約を考えた方がよいでしょう。
賃料減額のリスクがある
賃料減額の恐れがあるのも、サブリース契約のリスクです。当初の契約で定めた賃料が、将来的に下げられてしまう恐れがあります。
サブリース契約では、借地借家法に基づいてサブリース会社にも賃料減額請求権が認められています。
例えば、周辺の賃料相場が大きく下落したり、物件の競争力が低下した場合、契約時の賃料が不相当と判断されるかもしれません。その場合、サブリース会社から減額請求を受けるリスクが高まります。
さらに、物件の収益性が悪化した場合のリスクもあります。
例えば、長期の空室が発生し、サブリース事業の採算性が下がれば、サブリース会社は空室リスクをオーナーに転嫁しようとするかもしれません。
このように、一見安定的に見える賃料収入も、経済状況の変化次第では、当初の想定を下回る賃料しか得られなくなる可能性があります。
サブリース契約でトラブルを防ぐための2つのポイント
サブリース契約のリスクを理解したうえで、トラブルを防ぐにはどうすればよいのでしょうか。
ここでは、トラブル防止のための2つの重要なポイントを解説します。
- 契約内容を十分に理解する
- サブリース会社の信頼性を確認する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
契約内容を十分に理解する
サブリース契約でトラブルを防ぐために重要なのが、契約内容の十分な理解です。契約書にしっかり目をとおし、リスクを見逃さないようにしてください。
まずは契約書のすべての条項を隅々まで確認しましょう。分からない点があれば、必ず不動産会社に説明を求めてください。
特に注意が必要なのが、以下のような項目です。
- 賃料保証の内容と期間
- 賃料見直しの条件と頻度
- 契約期間と解約条件
- 修繕費や原状回復費などの費用負担
上記の項目は、サブリース契約のリスクに直結する重要な確認事項です。オーナーの負担が想定以上に膨らむ可能性がないか、慎重に吟味するようにしましょう。
また、契約書だけでなく、重要事項説明書の内容も確認が必要です。サブリース会社には、取引の重要部分やリスクを説明する義務があります。
サブリース契約を結ぶ際は、サブリース会社からの説明を十分に理解したうえで契約するようにしてください。
サブリース会社の信頼性を確認する
サブリース契約を結ぶなら、サブリース会社の信頼性の見極めも重要です。安心して物件を任せられるパートナーかどうか、入念に確認する必要があります。
会社の安定性を評価するうえで特に重要なのが、以下の指標です。
- 自己資本比率(高いほど財務の安全性が高い)
- 経常利益率(高いほど収益性が高い)
- 借入金比率(低いほど財務の健全性が高い)
上記の数値を確認できれば、会社の経営基盤の強さを判断できます。
次に確認したいのが、サブリース実績と管理物件の状況です。サブリース実績が豊富か、管理物件の入居率は高いかなど、サブリース会社の状況を確認するようにしてください。
また、法令遵守の状況も大切なポイントです。宅地建物取引業法に基づく免許の有無や、賃貸住宅管理業者登録の状況なども確認するようにしてください。
免許の有無や賃貸住宅管理業者登録の状況を確認できれば、不動産会社の基本的な適格性を判断できます。
サブリース契約に向いている2つのケース
サブリース契約は、誰にでもおすすめできるわけではありません。
ただ、以下のようなケースでは、比較的メリットがあります。
- 本業が忙しく賃貸経営に時間をかけられない
- 中規模以上の物件を所有している
それぞれ詳しく見ていきましょう。
本業が忙しく賃貸経営に時間をかけられない
サブリース契約は、本業が忙しいサラリーマン大家さんに向いています。なぜなら、賃貸管理の手間から完全に解放されるためです。
サラリーマンの副業で不動産投資を行う場合、物件管理の負担で悩む方が少なくありません。入居者対応や家賃回収、設備トラブルへの対応など、煩雑な業務への対処が求められます。
しかしサブリース契約であれば、賃貸管理の手間を丸ごとサブリース会社へアウトソーシングできます。また、空室リスクも家賃滞納リスクも、サブリース会社が肩代わりしてくれます。
面倒な業務に煩わされず、安定した賃料収入を得られるのは大きな魅力です。
中規模以上の物件を所有している
大規模な物件を所有する大家さんからしても、サブリース契約にはメリットがあります。特に管理業務の効率化を図りたい場合にメリットを感じられるでしょう。
例えば、1棟まるごと、あるいは複数棟の物件をサブリースに出せば、管理業務の効率化が可能です。サブリース会社が一括して管理を引き受けてくれるため、オーナーの手間を省けます。
個別の入居者対応やトラブル対応の必要がなくなりますし、家賃回収の手間も省けるため、管理コストを削減できるはずです。
また、サブリース会社の専門的な管理ノウハウを活用できる点も見逃せません。
スケールメリットを活かした効率的な運営で、高い入居率の維持と管理コストの最適化が可能です。その結果、物件の収益性向上につなげられます。
このように、管理の効率化とノウハウ活用の観点からも、大規模物件オーナーはサブリース契約に向いています。
サブリース契約に向いていない2つのケース
一方で、サブリース契約に向いていないケースもあります。
特に以下の2つが挙げられます。
- 短期間で利益を出したい
- 自ら積極的に経営管理したい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
短期間で利益を出したい
サブリース契約は、短期的な利益の追求には向いていません。なぜなら、サブリース契約は長期的視点での運用形態だからです。
そもそもサブリースの本質は、「賃貸経営の安定化」です。毎月の賃料収入は保証されますが、収益性は低くなります。
サブリース会社に敷金や礼金、更新料などの収入を支払う分、オーナーの取り分は思ったほど多くありません。
また、サブリース契約は一般的に長期での契約です。マーケットの変化に合わせて運用方針を変更したくても、契約期間中は変更の自由が制限されてしまいます。
長期的に安定した賃料収入を目的とするなら、サブリースは合理的な選択肢です。しかし、短期的に高い利益を求めるなら、他の選択肢を検討した方がよいでしょう。
自ら積極的に経営管理したい
積極的に物件の経営管理に関与したいオーナーも、サブリース契約はあまり向いていません。なぜなら、思いどおりの物件運営ができなくなる恐れがあるためです。
サブリース契約の下では、オーナーの管理権限は大きく制限されます。物件の修繕やリフォーム、賃料設定など、細かな部分までサブリース会社の意向に左右されます。
例えば、自身で入居者を選びたくても、入居者の選定権限はサブリース会社が握っています。また、細かな設備のグレードアップを図りたくても、サブリース会社の承諾が必要です。
さらに、周辺相場から判断して賃料を上げたいと考えても、サブリース会社との交渉が必要で、すぐには実行に移せません。
このため、自身が考える理想の経営方針がある場合は、サブリースに頼るのは今一度考えた方がよいでしょう。
自主管理で不動産を経営するか、あるいは一部管理委託の形を取るのが望ましい選択肢だと考えられます。
サブリース契約でトラブルが発生する前に専門家や弁護士に相談しましょう!
サブリース契約にはメリットもあれば、留意すべきデメリットも存在します。サブリース契約の特性をよく理解し、自身の目的に合致するかの見極めが大切です。
また、サブリースは万能の選択肢ではありません。物件の規模や立地、オーナー自身のスタンス次第で導入すべきかどうかも変わってきます。
もしサブリースの導入を検討している場合は、専門家に相談するのも選択肢の一つです。弁護士や不動産の専門家など、第三者の視点を交えると、有効な判断がしやすくなるでしょう。
本記事を参考に、メリットとデメリット、リスクと向き不向きをよく吟味したうえで、サブリース契約を検討するようにしてみてください。