「サブリース契約の解除手順を知りたい」
「サブリース契約を解除する際の正当事由が知りたい」
「サブリース契約のメリットとデメリットを知りたい」
現在、所有している物件の運用をサブリース会社へ依頼している方の中に、上記のように悩んでいる方はいませんか?
サブリース契約は解約できますが、解除するためには正当事由の提示が必要です。また、正当事由を提示してもサブリース契約を必ず解除できるとは限りません。
そのため、サブリース契約する際は、メリットとデメリットそれぞれを理解しておかなければ、契約したことを後悔してしまうかもしれません。
本記事では、サブリース契約解除の具体的な正当事由や契約解除する際の手順などを詳しく解説しています。
サブリースの契約解除についての理解を深めたい方は、ぜひご参考ください。
サブリース契約解除の正当事由とは?
サブリース契約は、物件オーナー(貸主)に代わりに不動産会社(借主)が物件の管理・運営を行う契約です。
また、貸主が一方的に解除できないため、解除するためには「正当事由」が必要です。
正当事由とは、「借地借家法」で定められている、貸主側から賃貸借契約を解除したい場合に必要な要求内容を指します。
借地借家法の正当事由の詳細は下記の項目で解説します。
なお、借地借家法を詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
サブリース契約解除の正当事由が認められる4つのケース
サブリース契約解除の正当事由が認められるケースは主に以下の4つです。
- 立退料を支払うケース
- 物件の老朽化で取り壊しが必要なケース
- オーナーや親族が物件を使用するケース
- サブリース会社が義務や契約を違反するケース
これからサブリース契約解除を検討している方は、それぞれ理解していきましょう。
立退料を支払うケース
立退料を支払うと、正当事由が認められるケースがあります。
例えば、サブリース会社の利益が月数万円程度と少額で、契約解除による大きな不利益が認められない場合は、立退料を支払うと正当事由と見なされる可能性があります。
また、サブリース契約の解除が適切と判断された場合でも、立退料を支払うと契約解除が認められるでしょう。
上記のように、金銭的に補償すると、正当事由として判断されやすくなります。
なお、立退料の金額は、一般的に月額賃貸料の6ヵ月程度が相場です。
そのため、立退料は高額になる場合が多いため、サブリース契約の解除を検討している方は、事前に用意しておかなければいけません。
物件の老朽化で取り壊しが必要なケース
築年数が経過して老朽化が進み、取り壊しが必要になった物件の場合、正当事由として認められる可能性があります。
例えば、建築基準法に基づく耐震基準を満たしていない物件を取り壊す場合は、サブリース契約の解除は正当事由に該当します。
また、居住が困難なほど老朽化が進行した物件のリフォーム費用がなく、サブリース会社の利益も少ない場合でも、正当事由になりえるでしょう。
ただし、取り壊しの必要性は、建築士などの専門家による診断結果を提示する必要があります。
オーナーや親族が物件を使用するケース
物件オーナーや親族が実際の物件に住む場合、正当事由として認められる可能性があります。
ただし、入居する明確な理由を示す必要があります。
所有物件以外に住む場所がないことを証明できると、正当事由の判断材料になるでしょう。
ただし、入居者がいる場合は立退交渉が必要で、立退料や引っ越し費用の負担が求められる場合があります。
また、オーナーや親族が入居するためにサブリース契約の解除後、別の物件に転居して違うサブリース会社と契約する場合は、正当事由として認められないおそれがあります。
そのため、物件の使用目的や入居期間は誠実に説明しましょう。
サブリース会社が義務や契約を違反するケース
サブリース会社が義務や契約に違反した場合は、貸主に契約解除の正当事由が与えられます。
サブリース会社には、以下3つの義務があるとされています。
- 賃料支払い義務
- 共益費支払い義務
- 自らの故意や過失で生じた修繕費負担義務
また、物件オーナーの許可を得ずに建物の増改築や模様替え、移転などを行った場合も、契約違反として正当事由が認められるでしょう。
ただし、サブリース会社の義務違反は、貸主側で立証する必要があります。
そのため、賃料支払いの遅れや、必要な修繕を行わなかった事実などの証拠は収集しておきましょう。
なお、サブリース事業適正化を詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
サブリース契約解除をする際の手順【4STEP】
実際にサブリース契約を解除する際、基本的な4つの手順で進めます。
- 契約書の内容を確認する
- 弁護士に相談する
- サブリース会社に解除通知書を送付する
- サブリース会社と契約解除の手続きや交渉を行う
それぞれ順を追って解説します。
1.契約書の内容を確認する
サブリース契約の解除を検討する際は、まず契約書に記載された主に以下2つの事項を確認しましょう。
- 解約申し出の期限や違約金の有無
- 契約期間や中途解約に関する事項などを
ただし、貸主から契約解除を申し入れる場合、契約内容よりも借地借家法が優先して適用されます。
解約の旨を伝える際は、6ヵ月以上前に解約の通知を行い、正当事由を示さなければいけません。
一般的に、翌月にサブリース契約を解除したいと伝えても、解約できない可能性が高いため注意しましょう。
2.弁護士に相談する
サブリース契約の解除には、法律の専門知識や交渉が求められ、弁護士への相談がおすすめです。
弁護士に依頼すると、状況に応じて必要なアドバイスやサポートを受けられるため、適切な判断のもと解除に向けた準備を進められます。
サブリース契約に関する法律は複雑で、場合によっては裁判が行われる場合もあります。
そのため、弁護士に依頼すると、裁判の際も安心して対応可能です。
ただし、弁護士を選ぶ際は、信頼できる方に依頼しましょう。
3.サブリース会社に解除通知書を送付する
サブリース会社へ解約の意思を表示するためには、解除通知書の送付が必要です。
解除通知書に決まった書式はありませんが、以下の項目を記載しなければいけません。
- 解除通知日
- サブリース会社名
- 物件オーナーの氏名・住所
- 解除理由
- 契約締結日
- 解約希望日
- 物件名称
この際、弁護士に解除通知書の作成を依頼すると、適切に内容をまとめられるでしょう。
また、解除通知書を送付する際は、特定記録郵便や簡易書留、内容証明郵便など、相手方が受け取ったことがわかる方法を選択しましょう。
4.サブリース会社と契約解除の手続きや交渉を行う
解除通知書の内容がサブリース会社に受け入れられると、合意解除という形で契約が終了します。
一方、サブリース会社が反対する場合は、解除に向けた交渉を続ける必要があります。
この際、違約金が発生する場合は、相手方の主張に対して冷静に対応しつつ、支払い金額を決めましょう。
なお、違約金は期日までに支払わなければいけません。
また、トラブルを防止するためにも、弁護士へ依頼しておくと交渉を進めやすくなります。
サブリース契約を継続させるメリット
ここまでサブリース契約の解除について解説してきましたが、サブリース契約を継続していると主に以下3つのメリットがあります。
- 安定した家賃収入を得られる
- 物件の管理業務を任せられる
- 相続税の節税対策になる
物件の運用をサブリース会社に依頼すると、空室リスクを減らせるため、安定した賃料収入を得られます。
また、入居者の募集や物件の管理・メンテナンスをサブリース会社に任せられるため、煩雑な業務から解放され貸主の手間を省けます。トラブル対応も同様に、サブリース会社が対応してくれるため、精神的な負担も軽減されるでしょう。
さらに、サブリース契約の建物は相続税評価額が通常より低く査定される傾向にあり、相続税対策としても有効です。
サブリース契約を継続させるデメリット
一方、サブリース契約のデメリットは主に以下の4つです。
- 家賃の見直し(減額)をされる場合がある
- 貸主からは解約しにくい
- サブリース会社から契約解除される場合がある
- 途中解約によって高額な違約金が発生する場合がある
サブリース会社の経営状況によっては、貸主に支払われる賃料が減額される可能性があります。
また、「借地借家法」により貸主から契約解除するのは簡単ではありません。
契約期間の途中で解約する場合には高額な違約金が発生する可能性があるため注意が必要です。
しかし、サブリース会社の経営方針の変更などにより、貸主の意向に反して契約を打ち切られる可能性も否定できません。
そのため、サブリース契約する際は、上記のメリットとデメリットをそれぞれ理解しておきましょう。
なお、サブリース契約のメリットとデメリットは以下の記事で詳しく解説しています。
サブリース契約をする3つのメリットとは?デメリットと向いている不動産オーナーの特徴を徹底解説
サブリースの契約解除でお悩みなら専門家に相談してみよう!
サブリース契約は解約できますが、解除するには正当事由の提示が不可欠です。
正当事由には、主に以下の4つが該当します。
- 立退料を支払うケース
- 物件の老朽化で取り壊しが必要なケース
- オーナーや親族が物件を使用するケース
- サブリース会社が義務や契約を違反するケース
また、サブリース契約を解除する際は、サブリース会社に解除通知書を送付する必要があります。
この際、相手方が受け取ったことを把握するためにも、特定記録郵便や簡易書留、内容証明郵便などの方法を選択しなければいけません。
解除通知書の内容がサブリース会社に受け入れられると、合意解除という形で契約が終了します。
しかし、サブリース会社が反対する場合は、解除に向けた交渉を続ける必要があります。
そのため、円滑に解約したいと検討している方は、早めに弁護士へ依頼しましょう。