なぜサブリース契約は解除できない?必要な正当事由と解除の方法を4STEPで徹底解説
「サブリース契約を解除したいけど、対処方法が分からない」
「サブリース契約の解除が難しいと聞いたが、理由を知りたい」
「サブリース契約を解除する際に必要な正当事由にを知りたい」
サブリース契約解除を検討している方の中に、上記のような悩みはありませんか?
サブリース契約は、一度締結すると借地借家法によってサブリース会社が保護されるため、解除が難しいと言われています。
また、解除するには正当事由や高額の違約金が必要です。
この記事では、サブリース契約が解除できない理由や解除に必要な正当事由、具体的な解除手順などを詳しく解説しています。
さらに、解除後にやるべきことや、サブリース付きオーナーチェンジ物件の解除にも触れています。
サブリースの契約解除について理解を深めたい方は、ぜひご参考ください。
なぜサブリース契約は解除できない?難しいとされる2つの理由
一般的に、サブリース契約が解除しにくいのには、主に以下2つの理由があります。
- 借地借家法によるサブリース会社への保護
- 高額な違約金の発生がともなう
今後、サブリース契約解除を検討している方は、それぞれの理由を理解することが、解除への第一歩となるでしょう。
借地借家法によるサブリース会社への保護
サブリース契約は借地借家法によってサブリース会社(借主)が保護されるため、物件オーナー(貸主)側の都合だけで解除するのは難しい現状です。
借地借家法は、立場の弱い借主を保護するための法律ですが、サブリース契約でも適用されます。
なお、契約解除には借地借家法28条により、下記で説明する正当事由が必要です。また、借地借家法32条により、サブリース会社からの賃料減額請求も認められています。
上記のようにサブリース会社は、借地借家法により法的保護されているため、物件オーナーが自由にサブリース契約を解除できません。
参考:借地借家法
高額な違約金の発生がともなう
サブリース契約を解除する際、高額な違約金の発生がともなう場合があります。
ただし、違約金の金額に法的な上限はなくサブリース会社が自由に設定できるため、物件オーナーにとって大きな経済的負担となり、解約に踏みとどまってしまいます。
一般的に、違約金の相場は賃料の6〜12ヵ月分に相当する違約金が設定される傾向です。
そのため、高額な違約金の存在が、サブリース契約解除を難しくしている一因といえるでしょう。
なお、サブリース契約はやめとけと言われますが、詳細を知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
サブリース契約はやめとけと言われる理由とは?トラブルを防ぐための2つのポイントをあわせて解説
サブリース契約解除に必要な正当事由
サブリース契約を解除するためには、以下に該当する正当事由が不可欠です。
- オーナーや親族の居住
- 建物の老朽化による取り壊し
- 生計維持のための売却
- 再開発事業による売却
それぞれ、どのような内容が正当事由として判断されるのか理解していきましょう。
オーナーや親族の居住
オーナーや親族の居住は、サブリース契約解除の正当事由として認められる可能性が高い理由の一つです。
オーナーや親族が物件に居住する必要性が生じた場合、サブリース契約を結んだ当初には予見できなかった状況のため、オーナーの権利として尊重される傾向にあります。
ただし、オーナー自身が居住する場合と親族が居住の場合では、正当事由としての主張度合いが異なります。
例えば、ご家族に介護が必要になり、対象物件に入居しなければ介護できないといった切実な理由があれば、親族の居住も正当事由として認められる可能性が高いでしょう。
また、オーナーや親族が住む必要性が生じた時期も重要な要素です。
サブリース契約締結直後よりも、契約締結から一定期間が経過した後の方が、正当事由として認められやすい傾向にあります。
建物の老朽化による取り壊し
建物の老朽化による取り壊しの必要性は、サブリース契約解除の正当事由として認められる場合があります。
この際、以下のように建物を使用し続けることが適切でないと認められると、正当事由として認められる可能性が高くなります。
- 耐震基準を満たしていない建物
- 倒壊の危険や衛生状況の悪化など入居者の安全に関わる問題
- 修繕では対応できない程度の老朽化など
ただし、建物の老朽化の程度や取り壊しの必要性は、専門家の意見を求めることが重要です。
生計維持のための売却
生計維持のための物件売却は、サブリース契約解除の正当事由として認められる可能性が高い理由の一つです。
オーナーの経済状況が悪化し、ローン返済や生活維持が困難になった際、物件の売却が唯一の選択肢となる場合があります。
また、以下の状況も考慮される可能性があります。
- サブリース会社からの保証賃料の下落
- 予期せぬ出費による財政状況の悪化など
ただし、単なる収益性の低下や、高値で売却したいといった理由では、正当事由として認められにくいでしょう。
再開発事業による売却
再開発事業は公共性が高く、個人の意思だけでは避けられないため、オーナーにとってやむを得ないやむを得ない事情として認識されます。
また、地域の発展や安全性の向上などのために再開発事業が行われるため、個人の利益のみを目的とした売却とは区別されます。
そのため、裁判所は再開発事業による売却を正当事由として認めやすい傾向です。
なお、再開発事業は以下のような取り組みを指します。
- 老朽化した建物が密集する地域の機能改善
- 安全で快適な街づくり
- 道路や公園、河川などの公共施設の整備・改善し
- 宅地利用の増進など
サブリース契約を解除する際の手順【4STEP】
サブリース契約を解除する際は、以下4つのステップで進めていきます。
- 契約書の確認
- 解約通知書の作成と送付
- サブリース会社との交渉
- 解除手続きの完了
サブリース契約の解除を検討している方は、それぞれの手順を詳しく見ていきましょう。
①契約書の確認
契約書には解約条件や手続き方法が明記されているため、適切な解約方法を把握できます。
確認すべき点は以下のとおりです。
- 解約申し出の期限
- 解約にともなう違約金の有無と金額
- サブリースの契約期間
- 解約可能な条件
- 賃料改定に関する条項など
上記の内容を理解すると、解約に向けた準備をスムーズに進められます。
ただし、契約書に記載されている解約条件が、借地借家法に照らして適切かどうかも確認が必要です。
②解約通知書の作成と送付
解約通知書の送付は、契約解除の意思を正式に伝え、法的な効力をもたせるために必要な手続きです。
解約通知書に決まった書式はありませんが、以下の内容を明記しなければいけません。
- サブリース会社の名称
- 契約書の該当条項に基づく解約通知であることの明記
- 対象となる物件の詳細
- 契約期間と契約終了予定日
- オーナーの住所・氏名・捺印
- 解約通知日など
また、解約の理由となる正当事由については、具体的かつ詳細に記述することが大切です。
単に「解約したい」だけでは不十分で、先述したようにオーナーや親族の居住の必要性、建物の老朽化などの理由が必要です。
なお、送付する際は相手が受け取ったことが分かるように、内容証明郵便での送付が推奨されています。
また、メールでも送付した旨を伝え、電話にて解約通知書到着の確認を忘れずに行いましょう。
③サブリース会社との交渉
サブリース会社へ解約通知書の送付後、契約解除の条件や時期を具体的に決定し、双方が納得できる形で解約を進めます。
交渉を始める前には、契約書の内容を再確認し、主張の根拠を整理しておきます。また、正当事由(オーナーの居住必要性、建物の老朽化など)を明確にし、可能な譲歩案を検討しておくことも大切です。
交渉では、解約の意思と理由を明確に伝え、サブリース会社の立場も考慮しながら進めます。
譲歩案の一例を以下で紹介します。
- 解約の時期:6ヵ月後の解約
- 立退料:家賃の3ヵ月分を支払う
- 物件の引き渡し方法:現状有姿での引き渡しなど
上記のように具体的な条件を提示し、双方が納得できる合意を目指します。また、合意内容は書面にまとめ、署名・捺印を交わします。
なお、交渉が難航する場合は、弁護士や不動産の専門家へ相談しましょう。
④解除手続きの完了
サブリース契約を解除手続きする段階では、合意された内容を確実に実行し、契約解除を法的・実務的に完結させます。
解除する際は、解約の日付や条件、立退料などを明記した合意書を作成し、双方が署名・捺印のうえ、原本を交換します。
また、立退料や違約金が発生する場合は、期日までに支払いを完了させなければいけません。
物件の明け渡しは、合意した日時に行います。この際、物件の状況を確認し、設備の破損や不具合などがないか確認しましょう。
また、サブリース会社に預けていた敷金の精算や入居者情報、修繕履歴などの引き継ぎも忘れずに行う必要があります。
上記の手続きが完了後、最終確認書を作成し双方で保管します。これにより、サブリース契約の解除が正式に完了です。
サブリース契約解除後にやるべき3つのこと
サブリース契約解除後は、以下の3つに対応しなければいけません。
- 新たな管理方法の決定
- 入居者との対応
- 物件の状況確認
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
新たな管理方法の決定
サブリース契約解除後、新たに管理方法を決めなければいけません。
管理方法は主に以下の2通りです。
- 自主管理
- 管理会社への委託
自主管理する場合は、オーナー自身が物件管理に十分な時間と労力を割けるかを考慮する必要があります。
一方、管理会社への委託を選ぶ場合は、信頼できる会社を選定し、適切な管理を行ってもらえるよう、密にコミュニケーションを取ることが重要です。
物件の継続的な管理や収益を確保するためにも、オーナーの生活スタイルや経営方針にあった方法を選択しましょう。
入居者との対応
サブリース契約解除後は、新たな賃貸借契約の締結と管理会社変更の通知が必要です。
トラブルを防ぐためにも、入居者の不安や混乱を最小限に抑え、家賃の支払い先や緊急時の連絡先などの情報を確実に伝えなければいけません。
この際、新たな賃貸借契約書を作成し、入居者との締結が必要です。また、契約内容に変更がある場合は、入居者に丁寧に説明し、理解を得ることが大切です。
サブリース契約解除後に安定した賃貸経営を続けるためにも、入居者との良好な関係を維持していきましょう。
物件の状況確認
契約解除後、物件の状況を詳細に確認するためにも、物件の現状を把握し、必要な修繕点を調査する必要があります。
長期間オーナーが直接管理していなかった場合、サブリース会社が適切に管理していなければ物件の劣化や損傷を見逃している可能性があります。
物件に劣化や損傷がある場合は、入居者の満足度が低下するかもしれません。
物件の状況を確認する際は、以下の部分をチェックします。
- 外壁の劣化や亀裂
- 屋根の状態(雨漏りの有無)
- 基礎部分の沈下や亀裂
- 給排水設備の機能
- 電気設備の安全性
- エアコンや給湯器の稼働状況など
上記を確認し、必要に応じて修繕しましょう。
サブリース付きオーナーチェンジ物件は契約を解除できますか?
サブリース付きオーナーチェンジ物件の契約解除は可能ですが、簡単ではありません。
通常の解除と同様に正当な理由が必要で、サブリース会社との交渉や立退料の支払いが必要になる場合があります。
先述したように、サブリース契約が借地借家法の規制を受けるため、正当事由がない限りオーナー側から契約解除は認められません。
そのため、サブリース付きオーナーチェンジ物件を購入する際は、サブリース契約の内容を十分に確認し、将来的な解約の可能性も考慮しておきましょう。
解約が難しいと判断した場合は、購入を見送るのも一つの選択肢です。
参考:借地借家法
サブリース契約が解除できない時は専門家に相談しましょう!
サブリース契約は借地借家法によってサブリース会社(借主)が保護されているため、オーナー(貸主)側の都合だけでは解除が難しいのが現状です。
解除するためには、主に以下4つの正当事由が必要不可欠です。
- オーナーや親族の居住
- 建物の老朽化による取り壊し
- 生計維持のための売却
- 再開発事業による売却
また、サブリース契約の解除が難しい理由の一つとして、違約金が発生する場合もあります。
一般的に、違約金の相場は賃料の6〜12ヵ月分に相当する違約金が設定されるため、高額になる傾向です。
しかし、サブリース契約解除が難しいと感じる場合は、弁護士や不動産の専門家に相談することをおすすめします。
専門家の知識と経験を活かすと、適切な解除方法を見出せるはずです。
サブリース契約の解除でお悩みの方は、ぜひ本記事を参考にしながら、専門家に相談しましょう。