「サブリース契約でどのようなトラブルが起こりうるのか不安」
「トラブルの実例を知りたい」
「トラブルを未然に防ぐ方法を知りたい」
サブリース契約に関して、上記のような悩みはありませんか?
サブリース契約は、不動産オーナーにとって手間いらずで安定収入が得られる魅力的な選択肢ですが、さまざまなトラブルに巻き込まれるリスクもあります。
本記事では、サブリース契約でよくある11のトラブル例や未然に防ぐ対策方法、巻き込まれた際の具体的な対処法などを詳しく解説します。
サブリース契約のトラブルから身を守りたい不動産オーナーの方、サブリース契約を検討している方はぜひ最後までご覧ください。
サブリース契約で発生しやすいトラブルの事例11選
サブリース契約では、どのようなトラブルが起こりやすいのでしょうか。
ここでは、よくある11のトラブル事例を取り上げ、それぞれ詳しく解説していきます。
- サブリースの解約ができないトラブル
- 中途解約を求められるトラブル
- 家賃の未払いや滞納のトラブル
- 賃料減額のトラブル
- 融資の不正に関するトラブル
- 免責期間中の家賃に関するトラブル
- 誇大広告や不十分な説明によるトラブル
- 物件管理の質低下に関するトラブル
- 高額な修繕費用の請求に関するトラブル
- 入居者選定に関するトラブル
- サブリース会社破たんのトラブル
順に紹介します。
サブリースの解約ができないトラブル
サブリース契約では、オーナーが解約したくても簡単にはできないケースが少なくありません。
大きな理由として、借地借家法によるサブリース会社の保護があります。オーナー側からの一方的な解約は、正当な理由がない限り認められていません。
また、解約時の高額違約金も厄介なトラブル要素です。長期の契約ほど高額になる傾向にあり、それだけでオーナーの解約を躊躇させてしまいます。
「簡単に解約できる」などと安易に考えるのは禁物で、契約前によく検討するようにしましょう。
参考:借地借家法
中途解約を求められるトラブル
サブリース会社から一方的に中途解約を求められるケースもあります。
契約書の中途解約条項を根拠に、解約を迫られるパターンが典型例です。あるいは、会社の経営悪化を理由に、解約を申し入れられることもあります。
いずれにせよ、突然の解約は、オーナーの収入計画を根底から覆しかねません。安定収入を期待していただけに、ダメージは小さくないはずです。
中途解約リスクを見据え、事前に対策を立てておきましょう。
家賃の未払いや滞納のトラブル
サブリース会社からの家賃支払いが滞り、オーナーの収入が不安定になるケースも見受けられます。
サブリース会社の経営状況悪化が原因の場合が多く、中には数ヵ月も家賃が払われないケースもあります。
この結果、オーナーのローン返済に支障をきたし、最悪の場合、自己破産のリスクもあります。
適切なモニタリングを怠らず、万が一に備えて資金繰りの対策も考えておきましょう。
賃料減額のトラブル
当初の契約と異なり、サブリース会社から一方的に賃料減額を求められるケースも少なくありません。
市場の賃料相場下落を理由に、減額交渉を仕かけられることもあります。中には契約書の賃料改定条項を根拠に、強硬に減額を迫るケースもあります。
減額リスクは常に念頭に置き、減額幅の上限設定など、交渉の余地を残しておくのが賢明です。
融資の不正に関するトラブル
サブリース契約を悪用した融資の不正も深刻なトラブルです。例として、近年注目を集めた「かぼちゃの馬車事件」があります。
不動産会社のスマートデイズ社は、シェアハウス投資をオーナーに持ちかけ、銀行から多額の融資を引き出していました。
しかし、その融資の多くは、不正な方法で取り付けたものでした。
具体的には、オーナーの年収などを水増しした虚偽の書類を銀行に提出し、オーナーの返済能力を超える高額融資が実行されていました。
一連の不正の発覚により、スマートデイズ社は経営破綻し、多くのオーナーが高額の融資返済に苦しむ事態となりました。
「かぼちゃの馬車」事件は、サブリース投資に潜む「闇」の深さを象徴する出来事です。
免責期間中の家賃に関するトラブル
サブリース契約での免責期間の扱いも、オーナーの不利益につながりかねないトラブルの一つです。
物件の空室リスクを回避するために設けられる免責期間ですが、その間はたとえ入居者がいても、オーナーには家賃収入が入りません。
免責期間は通常1〜3ヵ月程度ですが、場合によっては半年に及ぶこともあり、その間の家賃収入はありません。そのため、オーナーの資金計画に大きな影響を及ぼします。
また、事前の説明不足から、思わぬ損失を被るケースもあります。契約内容の隅々まで目を通すことが、リスク回避には欠かせません。
誇大広告や不十分な説明によるトラブル
サブリース契約を巡っては、業者による誇大広告や説明不足のトラブルも頻発しています。
「必ず家賃収入が得られる」などの説明は、正確性を欠き、リスクへの言及を意図的に避ける悪質なケースとして見受けられます。
このような業者の説明を鵜呑みにして安易に契約してしまえば、後々大きな痛手を被るおそれがあります。
甘言に惑わされることなく、疑問点は納得のいくまで説明を求め、客観的にリスクを見極める目が大切です。
物件管理の質低下に関するトラブル
サブリース会社の管理の質が低下し、物件の資産価値が毀損するケースも見られます。コストカットを優先するあまり、必要な修繕が後回しにされるパターンが典型例です。
清掃の手抜きや、設備のメンテナンス不足など、オーナーの目の届かないところでのサービス低下も問題視されています。
また、入居者対応の不備から、物件の評判を著しく下げてしまうケースも少なくありません。サブリース会社に管理を任せきりにせず、定期的に物件状況の確認をするようにしましょう。
高額な修繕費用の請求に関するトラブル
サブリース会社から、不当に高額な修繕費用を請求されるトラブルも見逃せません。業者の裁量で修繕が行われ、オーナーの意向が反映されないケースも多いです。
修繕の必要性や金額の根拠があいまいなまま、高額請求を突きつけられることもあります。
中には、オーナーからも入居者からも、修繕費用を巻き上げる悪質な二重取りをするケースもあります。
費用の妥当性を確認し、不当な請求は断固拒否し、専門家からアドバイスを受けることが大切です。
入居者選定に関するトラブル
オーナーの意向を無視した入居者選定も、看過できないトラブルの一つです。家賃の支払い能力など、オーナー側の選定基準が軽視されるケースが少なくありません。
結果として物件の資産価値を下げ、近隣とのトラブルを招くリスクもあります。
サブリース会社に任せきりにせず、入居者の選定基準を共有しておく必要があります。
可能であれば、入居希望者との面談の機会を設けるなど、オーナー自身が選定に関与する工夫も有効です。
自らの物件にふさわしい入居者を確保し、長期的な資産価値の維持を図っていきましょう。
サブリース会社破たんのトラブル
サブリース会社の経営破綻リスクも、オーナーにとっては頭の痛い問題です。
サブリース会社が倒産してしまえば、オーナーの家賃収入は途絶え、入居者との契約関係も不明確になり、物件管理が放置されてしまうこともあります。
「優良企業だから大丈夫」などと楽観視するのは禁物です。経営状況の定期的なチェックを怠らず、異変の兆しがあれば速やかに対策を講じるようにしましょう。
サブリース契約の前にトラブルを防ぐ4つの方法
サブリース契約のトラブルは、事前の備えで防げるものも少なくありません。
ここでは、未然防止の具体策として以下4つの方法を詳しく解説します。
- 法律や制度の理解
- 契約内容の十分な理解と確認
- 実績や評判のあるサブリース会社の選択
- 専門家への相談
法律や制度の理解
サブリース契約に関わる法律や制度の理解は、トラブル防止に欠かせません。自らの権利義務を正しく理解できれば、不当な契約は避けられるはずです。
特に重要なのが、改正された「サブリース新法」の内容です。本法では重要事項の説明義務など、業者の責任が強化されています。
また、借地借家法の規定も、サブリース契約では重要な論点です。正当な事由がなければ、オーナーからの解約が認められないことなどを頭に入れておきましょう。
参考:賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(サブリース新法)
参考:借地借家法
契約内容の十分な理解と確認
サブリース契約のトラブルを防ぐには、契約内容の隅々まで目を通すことも不可欠です。曖昧な理解のまま判を押せば、後々重大な争点になりかねません。
チェックすべき点は、契約期間や修繕費用の負担割合、賃料改定、解約の条件などです。
中でも修繕費用の負担割合は、トラブルの火種になりやすい項目のため、オーナーに不利な条項がないか、入念に精査する必要があります。
加えて重要なのが、重要事項説明書の確認です。リスクに関する記述を見落とさないよう、確実に目を通すようにしましょう。
不明点は納得のいくまで質問し、疑問点を抱えたまま契約しないことが大切です。
実績や評判のあるサブリース会社の選択
サブリース会社選びも、トラブル防止の重要な要素です。実績や評判のしっかりした会社を選ぶことで、安定的な運営が期待できます。
逆に無名の業者に安易に乗せられれば、不測の事態に巻き込まれるリスクもあります。
会社選びの際は、財務状況や過去の実績など入念なリサーチが大切です。ネット上の評判や口コミも参考になり、可能なら実際にサブリース物件のオーナーから話を聞くのもよいでしょう。
複数の会社から提案を受け、比較検討するのも賢明な方法です。条件面だけでなく、担当者の対応力なども総合的に判断できれば、誤った会社選択を防げます。
信頼できるパートナー選びに手間を惜しまず、慎重に吟味しながらサブリース会社を選んでいきましょう。
専門家への相談
サブリース契約の是非を見極めるうえで、専門家の助言は心強い味方です。弁護士や不動産コンサルタントなら、法律面からも実務面からもアドバイスしてくれます。
例えば、契約書の内容チェックは法的な観点から欠かせない項目です。素人目には気付きにくい落とし穴も、プロの目なら洗い出せる可能性が上がります。
加えて、想定されるリスクへの対策など、実践的な視点からの考察も得られるでしょう。
また、税務や資金計画に関しても、専門家の意見を参考にできます。
トータルの収支シミュレーションから、サブリース経営の採算性を多角的に判断でき、場合によっては代替案の提示を受けられるかもしれません。
ただし、専門家の意見をそのまま鵜呑みにするのは禁物です。あくまで判断材料の一つとして活用するようにしましょう。
サブリース契約でトラブルが発生した時の3つの対処法
万が一サブリース契約でトラブルに遭遇した時、どう対処すべきでしょうか。
ここでは、以下3つの具体的な方法を解説します。
- サブリース会社との交渉
- 専門家への相談
- 法的措置の検討
サブリース会社との交渉
トラブル発生時の第一手は、サブリース会社との直接交渉です。オーナーの立場から、冷静に問題点を訴えかけるようにしましょう。
交渉に臨む際は、論点を明確にしておくことが大切です。具体的にどこが問題なのか、どう改善してほしいのかなど、要点を整理したうえで歩み寄りの余地を探っていきます。
交渉の内容は、必ず書面に残しておきましょう。トラブル発生時の重要な証拠になるはずです。
感情的にならず、事実に基づいて冷静に対応する姿勢も欠かせません。双方にとって受け入れ可能な落とし所を見出せるよう、粘り強く話し合いを重ねましょう。
専門家への相談
交渉が難航するようなら、弁護士など専門家の力を借りるのも一つの手段です。法的な観点からアドバイスを受けることで、打開の糸口が見えてくるかもしれません。
弁護士には交渉の同席を求めるのも効果的です。法的根拠を示しつつ、現状の客観的な分析とともに、取るべき対応の選択肢を提示してくれるでしょう。
また、不動産コンサルタントなら、多数の同種のトラブルを見てきた経験から、具体的な解決策を提示してくれるかもしれません。
専門家の知見を頼りつつ、冷静に、しかし毅然とした態度で臨むようにしましょう。
法的措置の検討
話し合いで解決の見込みがない場合、最後の手段として法的措置も検討します。具体的には調停や訴訟の手続きなどです。
法的措置に踏み切る際は、十分な証拠資料の収集が欠かせません。客観的な証拠を基に、自らの正当性を主張する必要があります。
事実関係を時系列で整理し、論理的な筋道を立てるようにしましょう。そのためにも、普段から文書や記録を残す習慣を身につけておくのも大切です。
ただし、法的措置には、多大な時間とコストがかかります。示談で解決する道を探るのと併行して、訴訟も視野に入れるのが得策かもしれません。
サブリース契約に関するよくある質問
最後に、サブリース契約に関してよく寄せられる質問にお答えします。実際の相談現場で多いテーマですので、ぜひ参考にしてみてください。
サブリース契約はやばい、危ない(やめとけ)と言われる理由はなんですか?
サブリース契約は、「やばい」「危ない」などの否定的な評価を耳にすることが少なくありません。その理由は、サブリース特有のリスクにあります。
例えば、家賃減額や中途解約など、オーナーに不利な事態を招く可能性があります。説明不足のまま契約に至れば、想定外のリスクに直面する危険性も潜んでいます。
また、悪質な業者に付け込まれ、泣き寝入りする事態にもなりかねません。
ただし、リスクを冷静に分析し、適切な備えを怠らなければ、サブリース経営も十分成り立ちます。
過度に恐れることなく、客観的なメリットとデメリットを比較検討するようにしましょう。
マンションの駐車場に関するサブリース契約のトラブルにはどのようなものがありますか?
マンションの駐車場経営では、サブリース契約のトラブルが多く見られます。例えば、賃料減額や途中解約など、オーナーの収益性を直撃する事態が頻発しています。
背景には、駐車場の需要予測の難しさがあります。当初の見込み違いから、サブリース会社が損失を被るケースが少なくありません。
その尻拭いをオーナーに押しつける形で、一方的な賃料減額に踏み切るのが典型的なパターンです。管理コストの上昇を理由に、値下げ交渉に及ぶケースもあります。
トラブル回避には、需要予測に基づいた慎重な事業計画が欠かせません。駐車場の立地や周辺環境を見据え、長期的な収支をシミュレーションするようにしましょう。財産権の帰属に関しても、契約時に明確にしておく必要もあります。
サブリースのトラブル相談センターはありますか?
サブリースに特化したトラブル相談センターは、残念ながら存在しません。しかし関連する相談窓口なら、いくつか選択肢があります。
例えば国土交通省や、各都道府県の住宅部局が挙げられます。サブリース問題に詳しい担当者が、適切な対応策をアドバイスしてくれます。
トラブルの実情を具体的に相談できれば、解決の方向性が見えてくるかもしれません。
消費者センターや国民生活センターでも、一般的な相談は受け付けています。法的措置の要否など、基本的な対処方針を教えてもらえるでしょう。
事態の深刻さによっては、弁護士の紹介を受けられる可能性もあります。専門家への相談の窓口として、覚えておきましょう。
参考:国土交通省
参考:消費者センター
参考:国民生活センター
サブリース契約でトラブルが発生する前に専門家や弁護士に相談しましょう!
解約トラブルや賃料減額、管理の不備など、オーナーの不利益につながるケースが数多く見受けられます。
それだけにトラブル防止には、何より未然の対策が欠かせません。サブリース新法など関連法規の理解を深め、不当な契約は毅然と断る勇気が求められます。
また、万が一トラブルに遭遇した際も、サブリース会社との粘り強い交渉を続けつつ、弁護士など専門家の力も借りる柔軟な対応が大切です。
本記事を参考に、未然にトラブルを防げるよう対策を講じてみてください。