「サブリース新法って何が変わったの?」
「オーナーとして注意すべき点は?」
「サブリース業者選びで気をつけることは?」
サブリース新法に関して、上記のような悩みや疑問はありませんか?
2020年12月、サブリース契約のトラブル防止を目的とした「サブリース新法」が施行されました。
不動産オーナーが知っておくべきポイントをあらためて整理しておく必要がありそうです。
この記事では、サブリース新法の制定背景やサブリース新法の知っておくべき6つの内容を詳しく解説します。
不動産オーナーの方、今後サブリース契約を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
サブリース新法が施行された背景とは?
サブリース新法が制定された背景には、オーナーとサブリース業者の間でトラブルが頻発していたことが挙げられます。裁判沙汰に発展するケースも少なくなく、 社会問題にも発展しています。
トラブルの要因としては、以下のような点が指摘されています。
- 一部の業者によるリスク説明の欠如と、メリット偏重の誇大広告
- 執拗な勧誘など、悪質な営業手法の横行
- サブリース特有の複雑な契約内容と、オーナー側の理解不足
上記のような実情を踏まえ、オーナー保護の観点から法整備の必要性が訴えられるようになり、サブリース新法が制定されました。
サブリース新法は、悪質な勧誘行為や事業者の説明義務を厳格に規定し、トラブルの未然防止やサブリース市場の健全化を目指すものとして運用されています。
サブリース新法で知っておくべき6つの内容
サブリース新法の具体的な内容を見ていきましょう。
押さえておくべき改正点は以下の6つです。
- 誇大広告等の禁止
- 不当な勧誘行為の禁止
- 重要事項説明の義務化
- 契約締結時の書面交付義務
- 賃貸住宅管理業者の登録制度の創設
- 違反者への罰則規定
詳しく解説していきます。
誇大広告等の禁止
サブリース新法では、サブリース業者による不当な広告表示が明確に禁止されました。
このため、実際よりも物件を優良・有利と誤認させるような表示や、家賃保証・空室保証に関する虚偽の表示が規制されます。
SNSやWebサイトなど、あらゆる媒体での誇大広告が対象です。
例えば、「必ず家賃は上がる」「リスクはゼロ」など、根拠なく有利な条件を強調するような広告が規制されています。
不当な勧誘行為の禁止
悪質な勧誘手法も、サブリース新法で明確に禁止されることになりました。
かつては深夜早朝の勧誘を繰り返したり、過剰な好条件での勧誘など、悪質な勧誘でオーナーが望まない契約を結ばされるケースも多々ありました。
サブリース新法では、家賃減額リスクなど重要事項の不告知や虚偽説明、執拗な勧誘や不適切な時間帯での勧誘、威迫的言動など、オーナーの判断力を著しく低下させる行為も規制されます。
しかし、不当の線引きは難しく、悪質に見える勧誘でも業者サイドは誠実な説明をしているかもしれません。
このため、不動産オーナーは、勧誘が正当か不当かを判断する「第三者的な視点」をもつことが求められます。
重要事項説明の義務化
サブリース新法では、業者に対して契約締結前の重要事項説明が義務付けられました。
想定される家賃の減額リスクや理由、契約期間中の解約条件と解約違約金の有無、管理業務の対価など、オーナー側の費用負担に関する説明が求められます。
また、トラブルを未然に防ぐため、費用負担に関する説明には書面の交付が必要です。
ただし、業者が説明責任を果たしていても、説明内容を十分に理解していなければオーナー側が損してしまうかもしれません。
オーナー側も受け身の姿勢ではなく、疑問があれば遠慮なく質問して納得できるまで説明を求める姿勢が大切です。
契約締結時の書面交付義務
説明義務と同様、契約書面の交付もサブリース業者の新たな義務となりました。
書面に記載すべき主な項目は以下のとおりです。
- 賃料や管理業務の対価などオーナー側の収支に関する事項
- 契約期間や更新・解約に関するルール
- 大規模修繕などオーナー負担が想定される費用の内容
書面は契約の前後に渡す必要があり、内容にはオーナーのサインが必要です。
書面の保管はオーナー側に委ねられるため、必ず目を通して疑問点は質問し、納得した上で判を押しましょう。
賃貸住宅管理業者の登録制度の創設
サブリース業者に対する厳格な規制の一環として、国土交通大臣への登録制度も創設されることになりました。
登録には以下のような基準をクリアする必要があります。
- 一定の資本金や資産要件を満たしていること
- 業務管理者を設置し適切な管理業務を行える体制を整えていること
- 役員に一定の欠格事由がないこと
上記のような基準をクリアした業者は、国の登録業者として認定され、オーナーに対して登録業者を証明する標識の掲示が義務付けられます。
また、国の管理下に置かれることで、業者の質の向上が期待できます。さらに、登録業者情報は公開されるため、優良業者を選ぶための判断材料として役に立ちます。
違反者への罰則規定
サブリース新法の実効性を担保するため、違反者に対する罰則規定も設けられています。
誇大広告や不当勧誘を行った業者への罰金、重要事項説明義務に違反した業者への業務停止命令、登録業者の虚偽申請などに対する懲役刑などが、主な適用対象と罰則内容です。
罰則の程度は軽くありませんが、オーナー保護の観点からすれば、大切な措置です。
サブリースは、オーナーの資産を左右する重要な契約のため、違反行為には厳正に対処し、健全な市場を育む必要があります。
サブリース新法施行で不動産オーナーが注意すべきこと
サブリース新法は、オーナーに新たな権利をもたらす一方で、一定の義務も課すことになりました。
ここでは、オーナーが注意すべき以下2つのポイントを解説します。
- 重要事項の説明を受け、理解を深める
- 契約内容変更時の説明を受ける
重要事項の説明を受け、理解を深める
先述のとおり、サブリース新法では業者の重要事項説明義務が明文化されました。
賃料減額や契約解除のリスクなど想定される不利益事項、管理業務の対価などオーナー側の具体的な負担、大規模修繕の実施条件と費用負担のルールなど、書面交付と説明が義務付けられています。
ただし、業者から説明を受ける際、オーナー側も受け身に徹するのは避けましょう。
疑問点はしっかり質問し、双方の認識の相違をなくせば未然にトラブルを防げます。
契約内容変更時の説明を受ける
サブリース新法では、契約内容の変更にも「変更時の重要事項説明義務」が設けられました。ポイントは、契約時期によって説明の範囲が異なることです。
新法施行前に締結した契約を変更する場合、たとえ一部変更であっても、契約内容のすべてに関してあらためて重説と書面交付が必要です。
新法施行後の契約変更であれば、変更箇所のみの説明が義務付けられます。
家賃減額など、オーナーの利益に直結する変更の場合は、リスクを含めて業者から丁寧に説明してもらうようにしましょう。
変更を提案された場合は必ず書面での説明を求め、疑問点は遠慮なく質問して納得できる回答をもらうようにしてください。
サブリース新法に関するよくある質問
最後に、サブリース新法に関する代表的な質問にお答えします。オーナーの方から多く寄せられる疑問ですので、ぜひ参考にしてみてください。
サブリース新法はいつから施行されましたか?
サブリース新法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)は、2020年12月15日に施行されました。
新規契約だけでなく、一部の規定は既存契約にも適用されるので注意が必要です。
新法の影響は、オーナーにもサブリース業者にもおよびます。双方が契約内容の認識に相違がないようにコミュニケーションを取っていくことも大切です。
サブリース新法の条文はどこから確認できますか?
サブリース新法の条文は、国土交通省のWebサイトや電子政府の法令検索システムから確認できます。
法律は難解なイメージがありますが、ポイントを絞れば十分に理解できます。疑問があれば専門家に相談するのも一つの手段です。
また、オーナーの権利と義務を知る上でも、条文を理解しておくのがおすすめです。
サブリース新法の重要事項説明(重説)とはなんですか?
重要事項説明とは、サブリース契約で業者がオーナーに対し、契約内容の重要事項に関する説明を義務付ける制度のことです。
想定される賃料減額リスクと減額理由、契約期間中の解除条件と解約にともなう違約金の有無、管理業務の対価など、説明すべき事項が定められています。
重説はサブリース被害の防止に役立つ制度ですが、形骸化させないことが大切です。
サブリース新法を理解してサブリース業者とのトラブルを防ぎましょう!
サブリース新法は、業者への誇大広告の禁止や重説の義務化など、オーナー保護の観点からも大切な法律です。
ただし、業者からの説明を鵜呑みにせず、オーナー側も当事者意識を持って契約内容を理解しておきましょう。
また、サブリース新法に関して疑問がある場合は、専門家に相談するのも一つの手段です。
不動産コンサルタントや顧問弁護士、司法書士など、不動産の法律に詳しい見識者に教えてもらうと、サブリース新法を理解しやすくなります。
業者から説明を受ける際、専門家にすぐ相談できる体制を整えておくと安心です。
本記事を参考に、ぜひサブリース新法に関する理解を深めてみてください。